SPECIAL

2023.03.29

2周年記念、大河ゆの×三嶋たぬ先生②

インタビュアー・ライター:あいざわあつこ / ライター:青沢亮佑

12人の個性的なキャラクターと不思議なビスクドール――その印象とは。

―― それでは、六華ちゃんの年子の兄である七星君についてお聞きできますか?
三嶋:僕が描いていて勝手に思うことなんですけど、すごく子供っぽい面もあるんですが、案外一番大人なんじゃないかなと思っていて……。
大河:とってもピュアで子供なんですけど、周りの顔色を伺うところは大人なんですよね。
七星は子供心で『これやりたい!』と提案するんですけど、周りの顔を見たときに『そうじゃなかったな』と思うとコロっと意見を変えることができてしまうんです。
三嶋:そうそう。だから『あなたには自分がない』って言い方をされちゃう。でも本当はそうではないんですよね……。
正直、七星君を描いていると泣きそうになることがあるんです。そんなに周りを気にしなくていいよって思っちゃって。
大河:のびのび育ってもよかったのにねって思いますよね。
三嶋:思っちゃいますねぇ……。
 
―― それでは八色さんについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
大河:八色は小さい檻の中にいるイメージで書いたんです。
人は育つ過程でいろんなものに縛られるし、自分でも己を縛っていく。それがそのまま人の形になってしまったのが八色。
作られた型の中で、八色は自分が考えうる最大限の自由を生きようとするんです。
でもそもそも型の中だしその体は縛られすぎていて、上手くいかない。生き方を決められてしまった人ですね。
三嶋:彼の願いって、自由になりたい、小説家になりたいというもので……。それがあまりにもささやかだなと、もっと好きに願っていいのにって思いました。
今までぎゅうぎゅうに縛られてきた分、もっと好きにしてもいいのになって……。
本当に形を決められてしまった人なんだと感じました。
 
―― では次に、九日君についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
三嶋:九日君は、最初おとなしい子だと思っていました。でも、色気があったり、案外しっかり発言もするし、ギャップにびっくりしましたね。
あと個人的に……ネバーランドから一回帰ってきたとき、ぞっとする絵を描いたシーンがあるんですけど、そこが一番心に残っています。
とてつもなくきれいなのに、怖いくらいドロッとしたものを持っている印象です。
大河:九日は、自分のキャンバスがどんどん汚されて『こんなもの、思い描いていた色彩じゃない』という気持ちで生きています。
そして、ある日たまたま出会ってしまった人に『この人がいたら綺麗な色に戻るのかもしれない』という大きな勘違いをしてしまう。
全てがどうでもいいと思いながらも何かに期待している、期待が裏切られたらキャンバスを破り捨てよう。そんな刹那的な想いが強いですね。
三嶋:少し、潔癖なのかもしれないですね。
大河:ですね(笑)。
 
―― 次は、十紀人君についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
三嶋:勝手なイメージなんですけど、十紀人はナルコレプシーの影響で何に対しても諦めてしまっている印象です。絶対に現実に戻ってやるという気持ちはたしかにあるものの、どこかで諦めざるをえない……と思ってしまっているというか。
大河:十紀人は見てくださっている皆様に『そりゃそうだよね』と共感してもらえたら幸せなんじゃないかなと思っています。今まで“普通の人生”を歩んでいたのに、突然それを取り上げられたら『もう絶望を味わいたくないから、何にも期待したくないし、何かを好きになりたくない』と思ってしまうかもしれないな、と。本来は明るい性格なので、そううまくはいかないんですけれども。
 
―― 一十さんについてお聞きしてもよろしいでしょうか。
三嶋:一十さん……おじいちゃん……。
 
―― そう、おじいちゃんです(笑)。
三嶋:おじいちゃんは心から平和を望んでいて、とても優しい。だけど、どこか寂しいところがあって……。
一番難しいことを願っている人なのかなと思います。
大河:一十は、人に優しくすることで何かを解消しているような……どこか自分を犠牲にしているような部分があります。
他のキャラクターほど周囲とのズレ、歪みはないんですが、祈りのような優しさには、悲しさを感じさせるキャラクターです。
三嶋:確かに。自分に優しくしたいから人に優しくしているような……。自分にももっと優しくしたらいいのに……。
大河:ね。
 
―― さて、次は零士君についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
三嶋:零士君も諦めていることが多いですよね。とはいえ、今のところまだまだ謎が多すぎて描いている僕も全然わかっていないんですが……。
大河:そうなんですか?(笑)
三嶋:あの……彼は、ずっとあの世界にいたいんですか?
大河:ふふふ(笑)
三嶋:ふふふ(笑)
大河:零士は他者との関わりが上手くいかなかった際に『諦める』という選択を選んでしまいがちです。それも、『うん、諦めよう』と、やや前向きに。
そんな考え方だからネバーランドにも足を踏み入れてしまった。
でも、子供ながらに『やっぱり違うんだろうな』とは思うんですよ。それでも『自分で選んだことだから』と笑おうとする。なのに違和感があるから上手に笑えない。それを繰り返すうちに、この状況を楽しまなくちゃいけないという強迫観念にとらわれてしまった。
三嶋:感情がまだ追いついてないというか、感情と思考が一致していないですよね。
大河:子供なんですよね。真面目で健気な子。
 
―― では最後に、ティンクちゃんについてお聞きしてもよろしいでしょうか?
三嶋:初めてティンクちゃんをみたとき、すごくかわいいなと思いました。少し怖い感じはするんですけどね(笑)。
あと見た目は幼いのに、中身がいいところのお嬢さんというか、お姉さんというか……。
大河:なんでも受け止めてくれる、いいお姉さんですよね。
三嶋:ですね!
大河:まだこれはシナリオとしては書いていないんですが……。
ティンクのなんでも受け入れてしまう包容力の背景には、人間が好きという気持ちが根底にあるからなんですよ。
三嶋:そうなんですね……! ティンクちゃんについても、いろいろ明らかになるのが楽しみです!
 
―― さてここからはまたお二人についてうかがわせてください。自分がティンクちゃんに願うとしたら何を願いますか?
三嶋:ずっとマンガを描いていられるゴリゴリにマッチョな体がほしいですね。
大河:マッチョ(笑)。
三嶋:強靭な肉体をお願いします。首を傷めないようにめっちゃ太くしてもらって。
あ……首のくだりはカットで大丈夫なので!(笑)。
―― 考えておきますね(笑)。大河先生はいかがです?
大河:私はティンクみたいにいろんな人をネバーランドに連れ去りたいですね。
三嶋:(笑)。
大河:色んな人と遊びたい、遊んでもらいたい。……でも、皆が飽きて去っていったら、寂しくて『つまんない』って拗ねちゃう、みたいな。あなたの願イハなぁニ? って感じです(笑)。
 
次回は皆様からいただいた質問にお答えします。
次の更新は4月3日です。